通草(あけび)

今月末にもたれる所属結社の定例句会の兼題の一つが「通草」。日頃あまり身近に見る機会のないものだ。去年吟行に行ったときに見た通草を思い出しながら、また歳時記などの例句を参考にしながら作らなければならない。



これはまだ青い通草


山の子に秋のはじまる青通草  後藤 比奈夫


季重なりだが、雰囲気があり好きな句だ。


あけびの実かさなりあひてまだ熟れず  小林 はる子


これも青通草を詠んだ句で、情景が浮かんで来る。



通草といえば、やはりこのように裂けたところを詠んでいる句が面白い。


割腹の通草ためらひなかりけり    大橋 敦子


青空に裂けて通草のがらんどう    都筑 智子


私も去年の吟行で、「みづからを見失ふほど通草裂く エリザベス」というのを作ってみたが、大した句ではない。


この写真の通草は乾いてしまった白っぽい色をしているが、最初はセピア色のような淡い色から、だんだん美しい紫へと色を変えてゆくようだ。


その他、参考になる句として


ひそやかに通草山国色となる   後藤 比奈夫


何の故ともなく揺るる通草かな  清崎 敏郎


夕空の一角かつと通草熟れ    飯田 龍太


おそろしく乱れてをりぬ通草の藪    高澤 良一


鰯雲

台風一過の昨日は、一日空が美しく、特に午後からは鰯雲が広がり、前日の台風から一転、生まれ変わったような素晴らしい空の光景であった。心が洗われるような空の青と雲の広がりだ。

鰯雲の句ですぐに思い浮かぶのは


鰯雲人に告ぐべきことならず  加藤 楸邨


このことは自分一人の胸の中にしまっておけばよい・・と、鰯雲の浮かぶ高い空を仰ぎながら思っている作者の気持ちに共感できる句だ。


いわし雲人は働き人は病む     相馬 遷子


人生の哀感を感じる、これも好きな句。鰯雲は人を遥かな気持ちにさせる。


鰯雲離島に勤務したる日も    エリザベス


夕焼けも美しかった。新しく生まれ変わったような昨日の空を見ていて天変地異も、もう終わりにして欲しいと心から願ったのに、残念ながら、今朝また大きな地震が起きてしまった。




ブログ掲載句の投稿結果

早いものでもう8月も終わり。一時は少し涼しくなったものの、また暑さがぶり返し厳しい日々が続いているこの頃。


ここで、このブログに今まで掲載した句の内いくつかを、新聞俳壇へ投稿した結果をまとめてみました。


入選句
二三日つづく雨らし茄子を植う  エリザベス
蓮の葉の一粒の水もてあそび
原爆忌畑はぐんぐん水を吸ひ


選外
雨音のいよいよ激し梅雨の雷   エリザベス
単線のドア開くたび蝉時雨
作り滝とは思へざる勢ひあり
雨に透くうすきむらさき茄子の花
朝月の少し欠けたる涼しさよ
まだ解かぬ祈りのかたち蝉むくろ


たくさん作っても、その内投稿できそうなのは10パーセント以下。その中で入選するのはほんのひと握り。その一握りを得るために、日々俳句に向き合っている訳ですが、それは決して無駄な努力ではないと思います。納得のいく言葉を見つけるまでのプロセス、結果を得るまでのプロセスこそが大切で、そこに充実感を感じます。


暑い中にも、空の高さや青さ、雲の形や動き、また朝夕に吹く風にふと感じる爽やかさに、少しずつ秋の気配も覚えることも。いよいよ本格的に秋の句を作る時が近づいています。



打ち寄する波に晩夏のひびきかな  エリザベス
爽やかや刷毛で伸ばせしやうな雲