秋の蝶

「秋の蝶」
 歳時記によると季語「秋の蝶」の「秋の」には、蝶のさかりを過ぎた名残りの哀しさを感じさせるとあり、蜆蝶のような小さな蝶が、弱々しく地に近いところを飛び、しばしば草に止まっては、羽をたたんだり広げたりしている様子は、いかにも「秋の蝶」といった感じ。


曼珠沙華のまわりを飛び回り、蜜を一生懸命吸っている蝶の方は、まだ元気があり、秋の蝶といった感じではないが、いずれもつい先日見た光景。


 
半生を風として生き秋の蝶     小林 知佳


は、秋蝶の切なさ、哀しさが感じられて、とても好きな句。このような「秋の蝶」の句を作ってみたいものだと、去年、今年と詠みためた「秋の蝶」の句。


すんなりと風には乗れず秋の蝶   エリザベス
目に見えぬものを追ひかけ秋の蝶
 秋蝶の風見送ってゐるばかり
飛べばまた色のうするる秋の蝶

萩の花

萩の花がいよいよ本格的に咲き始めた。咲いてはこぼれ、こぼれては咲き続けている。萩関連の季語として


「白萩」「萩むら」「山萩」「野萩」「萩散る」「こぼれ萩」
「乱れ萩」「萩の宿」「萩の主」「萩見」 等々 


これらの季語を見ているだけで、もう充分詩心を誘われ、いろいろな場面が想像できる!


萩の花の句で一番好きなのが


萩の風何か急かるゝなにならむ   水原 秋桜子


風に揺れている萩に、心の中の不安、人生の定めなさを感じた作者。
最近知った次の句も、好きな句の一つになった。


歳重ね人それぞれの萩の花     三田 規童


いつかこんな句を詠めるようになりたいものだ。


白萩は清楚で好きだが、紅萩も咲き満ちているのではなく、まだ少ししか咲いていない姿の方が、落ち着きが感じられていい。



手に負へぬ萩の乱れとなりにけり     安住 敦
あらはれし人すぐ消ゆる萩の花      中村 朋子
つつましくやがて乱るる萩の花      伊藤 節子
束ねぬが萩の風情よ寺の門        中川 すみ子


本堂の開け放たれて萩の風        エリザベス
三分咲ほどの紅萩風情あり
萩刈れば風の素通りしてゆきぬ


吟行会で見かけた花

一昨日いつものメンバーで月一回の吟行句会を実施。地元の山の中腹(200m辺り)を歩いて、初秋の季語との出会いを楽しみ、句を作り、句会を楽しんだ。


▼ 曇りで見晴らしはあまりよくなかったが、遠くに讃岐山脈(阿讃山脈)
  が見える。


▼ 藪蘭(ヤブラン) 
  山の至る所で見かけた 上品なうす紫の花


▼ 茶店の庭さきに咲いていた「金水引」(キンミズヒキ)
  いわゆる「水引草」はタデ科だが、これはバラ科とのこと
  初めて知った可愛い花!

 
▼ 同じく茶店の横に咲いていた「紫苑」(シオン)
  これも美しいうす紫で、いかにも秋を感じさせるキク科の花



▼ 山道に咲いていた萩に似た、これも初めて見た花 
  山萩の一種なのか、あるいは別の種類の花なのか?
  色と模様の感じが粋で洒落ている!



これ以外に出会った季語、みんなの俳句に使われていた季語として


「爽やか」「新涼」「秋風」「秋の雲」「露」「水澄む」
「秋遍路」「秋の蝉」「秋の蝶」「露草」「秋の草」
「水引の花」「木の実」「銀杏」(ギンナン)など


実り多い吟行句会だった!
昼間作った吟行句を、夜ゆっくりと推敲するのもまた楽しいものだ。


飛べばまた色のうするる秋の蝶  エリザベス
水引にかがめば風の揺れやまず
秋雲にふと飛び乗つてみたくなる
落つるには色まだ足りぬ木の実かな
風と来て風に去りたる秋遍路
秋風を聞かんと傾ぎ石仏
吟行句推して敲いて夜の長し